こんにちはゆとり世代です

なんにもまとめていないし、役にもたたない

普通と理想

「子供とか欲しくないの?」

と、聞かれることがある。

もうすぐ30歳になるし、その質問をされるのは当たり前だ。

結婚も、子供も、女にしては適齢期だから。いや、むしろ、遅いくらいなのかもしれない。

 

 

 

 

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あまり考えたことがない。

というか、考えたくもないし、想像もできない。

わたしの家は所謂良くない家庭環境で、わたしが小さい頃父と遊んだという経験があまりない。

今でこそアルコール依存症になって頭がパーンしている父ではあるけれど、その頃は夕方から晩酌をして夜早い時間にはぐっすりと眠りにつくような人だった。

休みの日は日中庭仕事をしたりして、それを終えて昼からは酒を飲んで寝る。

気性は荒かったけれど、たまに手や足が出ていたけれど、家庭内暴力と言えるほどのものではない。

壮絶なアルコール依存症との闘いみたいに銘打ってしまうと、完全に名前負けだ。

ただ、「わたしが普通だと思う普通の家庭」ではなかった。

休みの日は家族で遊びに行ったり、外食したり。

夏休みは旅行に行ったり、たくさんの思い出を作る。

少なくとも、小さいときのわたしの周りの家は、わたしからはそう見えた。

車で一時間弱のショッピングモールに行っただの、海外に行っただの、どこに旅行しただの。

わたしたちの家庭は崩壊していない。

崩壊はしていなかったけれど、思い出という思い出はない。

それくらいにわたしは平日も休日も長期休暇もただただ家にいて過ごす、ということしかなかった。

その一番の原因が、父の外出嫌いと酒好きにあった。

みんなでどうにか一度だけ、車で十分くらいの大きな公園に行ったことがあった。

父との外出の記憶はほんとうにこれくらいである。

その時も父は飲みすぎて吐いて、終わった。

わたしの家族の思い出はこれと、父が怒鳴り散らしながら階段を上がってくる足音。

わたしには、家庭というものがわからない。

考えたくない。

考えたくないのだ。

 

 

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そんな話を先日、人にした。

詳しく話した訳ではなく、先の質問に返したのだ。

「家庭環境が悪かったから、結婚とか子供とか考えられないんです。普通の家庭が分からないし、想像も出来ない」

そういうと、それを聞いた人(年上の既婚男性)から、言われた。

普通って何、俺の家が今作っている家庭だって普通かどうかなんてわからないよ、と。

ああ、はい、とどうにか苦笑いするしかなくて、でも、彼の話は続く。

理想でいいんじゃないの、と。

自分が思う普通の理想の家庭を、それを作っていけばいいじゃないか、と。

と。

理想の普通の家庭、とは。

父親と母親と子供がいて、普通に朝ごはんと夜ご飯を一緒に食べて、休日は毎週出なくていいから近所の公園でも買い物でもテーマパークでも遊びに行きたい。勿論喧嘩することもあるだろうし手が出ることもあるかもしれない。それでもいつもみんなで笑い合って、みんなのことを思い合って支えている、そんなのが。

そんなのが、理想の家族。

派手でなくていい。毎年海外旅行に行くとか、高い家に住むとか、そういうことじゃなくていい。地味でいいけれど、静かで穏やかな幸せな時間を作りたい。

作れるのだろうか、そういう家庭って。

わたしなんかにも作ることが出来るのだろうか。一員になれるのだろうか。

こんな欠陥しかないダメ人間でも、そういう途方もない夢を見ていいのだろうか。

そういうものを羨んだり欲しがったりしてもいいのだろうか。

 

なんてね。

嘘だ、冗談だ、笑い種だ。

 

そんなもの、夢はしょせん夢だ。

どうせ作るならそういうものがいいけれど、家庭も子供も結婚も、それ自体にはやはり興味はない。

ないならないでいい、それだけ欠陥人間が携わる欠陥住宅の住民が減るわけだし。

ないでいいなら、なくていい。

もしもその必要性があるのなら。

あるのなら、アットホーム家庭がいい。それだけだ。それだけの話だ。

 

 

 

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好きな人がいる。

一度お断りをされているけれど、それでも今でも目で追ってしまう人。

彼は明るくて真面目でピュアだ。

彼はきっと素敵な家庭を作る。

彼が作る、と言えばもう妄想女きめぇみたいになってしまうからちょっと離れて読んでほしいのだけど、彼が、彼みたいな人が作るであろう家庭や日常はきっときれいだと思う。

そういうものの中にいることが許されるのなら、それだけは、夢だ。

彼の、彼みたいな人の目を通して世界を見たい。

彼の、彼みたいな人のそばで日常を感じたい。

きっと世の中はわたしが見るよりももう少しきれいで素敵なものなんだろう。

その中にわたしみたいなのが入る込むことが許されるのなら、許されたい。

 

わたしの直近の夢は、理想とする日常は。

彼を通してしか見えないのだ。今は。

ばかだよな、お断りされてるのに。

 

でも、そういうことみたい。

家庭がほしいとか結婚したいとかは思わない。願望もない。むしろ嫌いだ、そんなもの。

でも、でも、彼みたいな人となら。

それを夢と呼びたい。